ラオス南部の中心地「パクセー」周辺は見所がたくさん。

チャンパサック県パクセー市は、ラオス南部の中心地です。

多くの日本人にとって、ラオスという国自体、まだあまり知られていないと思いますが、それでも「ラオス」と聞いて思い浮かべるのは、首都ビエンチャンと世界遺産の街として最近メジャーになってきたルアンパバンくらいでしょうか。

「パクセー」という地名を知っている日本人は少ないと思いますが、日本の都市で例えると、ルアンパバンが古都京都なら、パクセーは商業都市であり、観光都市でもある大阪という感じです。

ちなみに言葉（方言）も、ルアンパバンはゆっくりでやさしい感じなのに対して、パクセーは早くて語勢が強いので、最初、パクセーの人はみんな怒ってるのかと思うくらいでした。

パクセーは観光地への玄関口

ラオスには、世界遺産が2つありますが、1つは、前述の「ルアンパバン」。街全体が世界遺産になっていて、ニューヨーク・タイムズや有名な旅行雑誌などで「行きたい都市」に選ばれたり、ハリウッドスターやK-POPのアイドルが訪れたりしたことで、有名になりました。

そして、もう1つの世界遺産が、パクセーから南に車で1時間弱の場所にある「ワット・プーと関連古代遺跡群」です。

ワット・プーは、クメールの遺跡で、あの有名なカンボジアのアンコール・ワットより古い時代の遺跡と言われています。ルアンパバンほどメジャーにはなっていませんが、世界各国からの観光客が訪れています。

さらに南に行くと「シーパンドン」と呼ばれる地域があり、川幅が最大で4Kmにもなるメコン川に浮かぶ大小の島々やカンボジア国境近くにある「コーンパペンの滝」など、自然豊かな観光地があります。

また、パクセーから東に1時間ほど行くと、ボラヴェン高原というコーヒーの生産地があります。その中のパクソンという地域にも、ラオスで最も高低差のある「タート・ファン」を含め、色々な滝やコーヒー農園、フラワーパークなどの観光地があります。

このような観光地への玄関口、中継地点として、パクセーには1年を通して旅行者が訪れます。そのため、ホテルやゲストハウスが集まっていて、比較的、英語も通じますし、ラオス料理以外にも、ベトナム料理、イタリアン、インド料理などのレストランやカフェもたくさんあります。

日本人の観光客はまだ少ないですが、欧米人のバックパッカーは常に多いですし、ハイシーズン（11～2月くらいの乾季）になると団体のツアー客も増えて、主要なホテルは軒並み満室になるほどです。

物流の拠点としても

また、パクセーから西に1時間弱でタイ国境、東に3時間程度でベトナム国境、南に2時間程度でカンボジア国境に行くことができます。

そのため、空港や国内・国際ともに各地方へ行く長距離バス乗り場などがあるパクセーは、人の交流だけではなく、物流の拠点にもなっています。

このような立地の良さもあって、数年前には、世界的にも珍しい、日本の中小企業だけが入れる経済特区（SEZ）も出来て、最近では、日本の工場も増えてきています。

今後、日本で買ったものの中に「Made in Laos」の物があったら、それは、もしかしたらパクセーの工場で作られたものかもしれません。

18世紀には「チャンパサック王国」の中心地であり、フランス植民地時代には多くのフランス様式の建物が建てられたパクセーの街は、こじんまりしていますが、歴史を感じさせる雰囲気があります。

すぐそばに雄大なメコン川があって、街中のどこからでも小高い山々が見える景色は、日本人にとっては非常に心地よくて、落ち着きます。

私がパクセーに住んでいる3年の間でも、色々な国の外資が入ってきて、街中もそれぞれの観光地も少しずつ開発が進み、便利になる一方で、豊かな自然や古くからの文化が失われなければいいなあと思うことがないわけではありません。

ラオス人にとって1番いい形で発展していくにはどうすればいいか、パクセーに住む日本人として、考えながら、暮らしていきたいと思っています。

※こちらは、EXPAT by COURRIERに掲載された記事です。