2021年11月24日付のVientiane Timesによると、一時中断していた、パクセー市内のメコン川沿いの整備プロジェクトが再開する見込みとのことです。
原文:「 Champassak to forge ahead with Mekong management project 」
記事の内容によると、「チャンパサック県の当局は、財務省が、地滑り防止プロジェクトの第1フェーズを完了するための追加融資要請を提出したことにより、パクセー市で計画されているメコン川統合管理プロジェクトが間もなく再開されると確信している」と伝えています。
プロジェクトの担当者によると、融資の要求はラオス政府によって承認されており、資金は、洪水の影響を受けたセドン川沿いの0.3kmの地すべり防止の堤防の建設に資金を提供している、韓国の経済開発協力基金から調達される見込みとのこと。
プロジェクトでは、洪水防止用の堤防と6.8kmの排水路が建設され、堤防に沿った13.5kmの道路の舗装が行われます。さらに、チャンパサック県では初めてとなる、10.6ヘクタールのメコン川沿いの公園の建設と、その公園に接する2kmの道路の整備も含まれています。
プロジェクトの基礎的な準備は2011年に既に実施されており、チャンパサック県の当局は、韓国からコンサルティングサービスを提供する企業3社を承認しています。これらの企業は、魅力的な景観やその他の機能を盛り込んだ詳細なプロジェクト計画を立てる予定です。
プロジェクト全体の完成までには5年を要し、総費用は6,560万米ドル以上になると予想されています。最近の追加融資の要請により、当初の見積もり金額は上昇する見込みとなっており、費用の大半は韓国からの低利融資で賄われますが、残りは地方自治体が負担する予定とのこと。
また、プロジェクトサイト内の様々な自然の障壁を取り除くために600万米ドルが費やされ、プロジェクトの影響を受ける地元の人々への補償も行われます。
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パクセー市内のメコン川沿いでは、2016年頃から工事の看板が掲げられ、川沿いの屋台などは撤去となり、セドン川沿いの護岸や堤防の工事が徐々に始まっていました。2018年、2019年の大雨や洪水で、メコン川沿いの工事中のサイトの一部が流されたり、また、その後、コロナの影響もあったのか、工事が中断していましたので、当初の計画通り進んでいないような印象を受けていました。
ちなみに、首都ビエンチャンのメコン川沿いも、以前は舗装されていない、自然の河原の状態で、屋台や食堂などが立ち並んでいましたが、韓国の援助で整備が行われ、護岸工事と同時に公園も建設されました。
このビエンチャンの河原の工事の時も、外国人や旅行者は、自然のまま残すべきだとか、情緒がなくなると言って、賛美両論ありましたが、私の知る限り、ラオス人からネガティブな意見は聞かなかったと思います。現実的に、今ナイトマーケットなどが行われているメコン川沿いの場所は、雨季になると、頻繁に水が溢れて、道沿いのお店などが店の前に土嚢を積んでいる風景をよく見かけました。しかし、この護岸工事のおかげで、そのようなこともなくなり、また、早朝はランニングやエアロビをする人たちがいたり、夕方以降はナイトマーケットなどが催され、地元のラオス人にとっては憩いの場ができ、観光客にとっても楽しめる場所ができました。
今回のこのパクセーの護岸工事と公園の建設も、同じ韓国が請け負っているということもあり、ビエンチャンと同じような公園になるのではないかと予想をしていましたが、記事中の予想図を見る限り、おそらく予想通りで、川沿いには遊歩道があり、内陸側にはお店などが立ち並んでいるように見えます。
パクセーでの工事が始まった時には、ビエンチャンの時と同じように、外国人や旅行者からは、川沿いの屋台がなくなって残念だとか、人工的になるのは風情がないとかいう意見をよく聞きましたが、地元のラオス人の住民からすると、現実的にセドン川沿いでは堤防の効果が出ており、雨季には毎年のよう水が溢れるような場所が少なることは、歓迎されるべきことに間違いはありません。
さらに、川沿いにビエンチャンのような公園が出来るということで、この工事が始まってから、メコン川沿いには新たにレストランやホテルが建設されています。コロナの影響もあり、当初の予定の時期に完成することは難しくなりましたが、今回、この追加融資が決定し、工事が再開するということで、パクセー市にとっては、とても明るいニュースとなりました。
これまでのような、雨季の期間の浸水や洪水の被害が減少するのみならず、メコン川沿いの公園の建設によって、地元の住民の憩いの場が出来るだけではなく、コロナが収束した後の観光業の振興にも寄与することが期待されます。