2023年4月27日付の「Vientiane Times」及び「The Laotian Times」の記事によると、政府は、2023年5月からの最低賃金の値上げについて合意したということです。
「Vientiane Times」の記事: Govt to raise monthly minimum wage to 1.3 million kip
「The Laotian Times」の記事: Laos to Raise Minimum Monthly Wage in May
記事の内容によると、政府は、首相が議長を務め、副首相、政府メンバー、各省庁、関係者の代表が出席し、4月25日、26日に開かれた閣議で、最低賃金を現在の月額120万KIPから130万KIPに引き上げることに合意し、国際労働デーである5月1日から施行するということです。
今回の最低賃金の引き上げについては、2022年4月に政府で合意されており、2022年5月には値上げの金額と時期について、具体的な通知が出されていました。
参照:2022年6月14日 「 ラオスの最低賃金の値上げの金額と時期が決定 」
上記の通知により、最低賃金の月額が110万KIPから、2022年8月には120万KIPに引き上げられ、今回、2023年5月から130万KIPとなりました。
記事の中でも「賃金の引き上げは、生活費の高騰や経済の不透明感の中で、多くのラオス人が苦しんでいる苦難を緩和することを目的としている」と伝えられている通り、最低賃金引き上げが決定された昨年の2022年4月以降、ラオス国内の物価の上昇は更に進んでおり、国民の生活を鑑みれば、今回の引き上げに異論はなかったと思います。
また、今後の最低賃金の更なる引き上げについて、各紙、若干違ったニュアンスで報じています。「Vientiane Times」では、
首相は、閣議にて、労働社会福祉省に対し、賃上げが現在の経済状況の実態にどのように合致しているか、関係部門と協力して観察するよう指示しました。この指示は、昨年、ラオス労働組合連合(労働者を代表する団体)が、高騰するインフレに対抗して、最低賃金を月150万KIPに引き上げるよう求めたことを受けて出されたものです。しかし、ラオス商工会議所(経済界を代表)は、この額の引き上げは企業に悪影響を及ぼすとし、この要求を拒否しました。首相は、賃上げに関する詳細な調査を命じ、その結果を今年の第3四半期に政府に報告することにしました。
と伝えており、労働者と産業界、双方の意見を紹介していますが、「The Laotian Times」では、
政府は、最低賃金のさらなる引き上げの可能性について議論し、労働社会福祉省に、適切な生活を送るための最低賃金について、より包括的な調査を行うために、財務省およびその他の関連省庁との調整を継続することを委任しました。この問題に対するより多くの洞察を得た上で、政府は2023年第3四半期に最低賃金をさらに引き上げることを希望しています。それは全国の多くの労働者に利益をもたらすためです。
と伝えており、今年度中の最低賃金の更なる引き上げについて、より積極的かつ前向きな内容となっています。
今年度中の最低賃金の更なる引き上げについて、可能性がどの程度なのかは不明ですが、実際に検討はされており、第3四半期には何かしらの報告がなされることになるようです。
政府および労働者としては値上げを望んでいるものの、昨今のKIP安や燃料費の高騰の影響を受けている企業を代表するべき商工会議所としては一定の反対をせざるを得ないというところでしょうか。ただ、やはり、現在のラオス国内のインフレやKIP安の国民の生活への影響や、実際の現実的な賃金の相場などを鑑みると、月額150万KIP程度までの値上げは許容されてもいいのではないかと思われます。