2022年4月29日付の「Vientiane Times」及び2022年5月1日付の「The Laotian Times」のFB記事によると、ラオス政府は、最低賃金の引き上げに原則合意したとのことです。
Vientiane Timesの記事: Govt agrees in principle to raise minimum wage
The Laotian Timesの記事: Government of Laos Agrees to Raise Minimum Wage
記事の内容によると、4月26日、27日にビエンチャンで開催された、首相が議長を務め、閣僚が出席した政府の月例会議で、最低賃金の引き上げについて合意に至ったとのことです。
最低賃金の引き上げに関しては、今年の3月、ラオス労働組合連盟の副会長が、「現在のラオスの最低賃金110万KIP(約85米ドル)はもはや限界である」、「生活費が上昇し続け、市場での物価高が国内の低賃金労働者に直接影響している」と発言しており、最低賃金を月額110万KIPから月150万KIPに引き上げることを提言していました。
しかし、ラオス商工会議所は、この額の引き上げは企業に悪影響を及ぼすとして、雇用者の負担を減らすために、最低賃金の引き上げは月額130万KIPとすることを提案しており、先日ビエンチャンで開催された三者会談では、来年5月1日までは賃上げが実施されないことで合意していました。
今回、政府は、物価上昇の中で多くの人々が被っている苦難を緩和するために、最低賃金を引き上げることに原則合意しましたが、その引き上げ額と時期については、まだ決定していません。
政府は、労働社会福祉省に対して、引き上げ額や時期について、ラオス商工会議所とさらに話し合い、その結果を5月の党中央委員会で報告するように指示をしたとのことです。
ラオスの最低賃金は、前回は2018年5月に、90万KIPから110万KIPに引き上げられました。
今年1月には、記事中にも述べられてるラオス労働組合連盟の意見とともに、今年の3月に最低賃金の引き上げが実施されるという報道が出ていました。
参照:2022年1月30日 「 3月に最低賃金の値上げを発表か 」
ラオス商工会議所は、加盟している企業の意見もあり、また、コロナ禍の不況やインフレ、KIP安の影響による企業の負担増を鑑み、最低賃金の引き上げには抵抗を示していましたが、国民の生活の困窮状況を考慮し、最低賃金を引き上げること自体には合意せざるを得なかったものと思われます。
上記の1月の記事でも書きましたが、現在のラオスの状況下で、さらにインフレによる商品価格の上昇もある中、最低賃金110万KIPで生活することは現実的ではなく、最低賃金額の早急な引き上げは避けられないというのが意見の大勢であることは間違いありません。
今月中には引き上げ額や時期が報告されるようですので、その報告を待ちたいと思います。